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何が価値あるものであるのか?

まずは中国に伝わる「石工」の物語を。


昔一人の石工がいて、自分の境遇に嫌気がさしていた。

ある日裕福な商人の家の前を通ると、広い玄関口から数多くの素晴らしい調度と身分の高い客たちが見えた。「ずいぶん権力のある商人に違いない!」と、石工は考えた。石工はうらやましくなり、商人のようになれたらと思った。そうすれば、もはやしがない石工暮らしをしないですむ。

たいそう驚いたことに、男は突然その商人になっていた。夢に見た以上贅と権力に恵まれ、それほど豊かでないものたちからねたまれ、そねまれていた。ところが、ほどなく、ひとりの身分の高い役人が通りかかった。輿に乗り、従者を従え、銅鑼を叩く兵士達に護衛されている。どんなに裕福であっても、その行列の前ではだれもが頭を低く下げなければならなかった。

「あの役人はなんと力があるのだろう!」と、男は思った。「身分の高い役人になりたいものだ!」

すると、男はその役人になり、どこへ行くにも刺繍をほどこした輿で運ばれて、役人が通るたびにおじぎをしなければならない人々に恐れられ、憎まれていた。ある暑い夏の日のこと、蒸し蒸しする輿のなかはひどく居心地が悪かった。役人は太陽を見上げた。太陽は誇らしく空に輝き、彼の存在などものともしていなかった。「太陽のなんと強力なことか!太陽になりたいものだ!」

すると今度は太陽になり、あらゆるものに激しく照りつけ、田畑を枯らして、農民や働くものに呪われていた。ところが、大きな黒雲が太陽と大地の間に入り込むと、その光はもはや下界のあらゆるものに照りつけるわけにはいかなくなった。「嵐の雲のなんと強いことか!雲になりたいものだ!」

そこで雲になり、田畑や村に水をあふれさせ、みなから怒号を浴びせられた。ところが、そのうち気がつくと、なんだか大きな力に押し返されている。風であった。「なんと力のあることよ!風になりたいものだ!」

そこで、風になり、家々の屋根瓦を吹き飛ばし、木を根こそぎ引き抜いて、下界のあらゆる人間に憎まれ、恐れられていた。ところが、しばらくすると、どうしても動かないものにつきあたった。どんなに力をこめて吹き付けてもビクともしない。大きく、そそりたつ石だ。「あの石は、なんて力があるんだろう!石になりたいものだ」

そこでとうとう地球上のなにものよりも強い石になった。が、じっと立っていると、硬い石に鑿を打ちこむ槌の音が響いてきて、自分のかたちが変えられていくのを感じた。「石のおれより強いものとは、いったいなんだろう?」見下ろすと、はるか下の方に、ひとりの石工の姿があった。


人は往々にして、自分自身の置かれている立場を理解せず、まわりをうらやんだりする。隣の芝生はどうしても緑に見えてしまう。しかし、これが一番価値のある、と断定できるものはこの世に存在しない。どれもそれそのもので輝きを持っているものである。そのことに気づくことができれば、その人はもはや追い求めることもなく、平安の境地に安らぐだろう。

ここにある話は、老荘思想的な話であるが、老荘思想は非常に興味深い。無為自然やあるがまま、ということを説くが、それは普段の私達の概念から遠いものであり、それをなかなか理解することはできない。しかし、その境地を体得すれば、何の苦痛もなく安らぎにひたることになるだろう。
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唯我独存

Author:唯我独存
ヨーガ・瞑想暦20年ほど。レイキマスター。日々この瞬間を大切にすることをモットーとする。気付き、寛ぎ、ハートの三つから、今ここにあることを体得し、それを伝えていこうとしている。

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