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一体何がまともで何がまともではないのか?

私は仏教でいう仏性が人には内在していており、人びとが互いに慈しみあい、平和な世の中になってほしい思うが、それとともに人には闇の要素もあり、ドロドロとした眼をそむけたくなるような面もあることもまた理解している。宗教的なことや、スピリチュアルなことに関心がある人は、人の闇の部分を直視しない人もいるが、それはあまりにもお目出度いと言わざるを得ない。それを理解し超えていくところに本当の愛や光があるものではないかと思う。


私は文学や映画も好むが、一過性ではなくてずっと評価が高く、後々にまで語り継がれる作品は、綺麗事ばかりではなく人の闇も描いている物が多い。そして私もそういった作品群を好む。今の時点で最後に映画館で見た洋画は「ドラゴン・タトゥーの女」で、邦画は「ライアー・ゲーム 再生」だが、どちらも人間の闇について掘り下げていて、どちらも面白かった。私は愛と涙と感動のラブストーリー・ヒューマンドラマという謳い文句の作品はあまり見ない。泣くという行為は悪いものではなく、時と場合によっては必要だと思うが、お涙ちょうだいの映画などには心を惹かれない。何かが違うと感じてしまう。


昨日は映画「クワイエットルームにようこそ」を見た。
http://www.quietroom-movie.com/


主演は内田有紀だが、蒼井優が出ているのでそれが目当てで以前から見たいと思っていた。また物語の主な舞台が精神病棟で、「カッコーの巣の上で」や「十七歳のカルテ」などと繋がるテーマのものかと思い鑑賞した。


ストーリーは以下の通り


28歳のライター佐倉明日香(内田有紀)は見知らぬ白い部屋で、拘束された状態で目を覚ます。現れたナースの江口(りょう)から「アルコールと睡眠薬の過剰摂取で運ばれ、2日間昏睡していた」と聞かされる。仕事があることもあり退院したいと訴えるが、担当医と保護者の同意がなければ許されないと冷たく返されてしまう。同棲相手で放送作家の鉄雄(宮藤官九郎)が見舞いに来て「胃洗浄をしたら薬の量が多すぎたせいで、内科から精神科に運ばれた」と告げる。こうして明日香の女性だけの閉鎖病棟生活が幕を開ける。


「食べたくても食べられない」入院患者のミキ(蒼井優)、元AV女優で過食症の西野(大竹しのぶ)など、個性的過ぎる患者たちに戸惑う明日香だったが、病院内のルールにも慣れ、患者それぞれの過去や性格を知るうちに、少しずつ馴染みはじめていく。患者たちは、簡単な買い物も電話も面倒な手続きが多いなど、何かと規則で縛ろうとする冷酷ナースの江口たちに不満を募らせていた。そんな折、鉄雄の子分のコモノ(妻夫木聡)が面会にやってくる。明日香が開けた原稿の穴はコモノが埋めたらしいが、その出来は最悪で、明日香は持病の蕁麻疹を発症させてしまう。江口たちは閉鎖病室<クワイエットルーム>の手配をはじめるが、毅然と江口たちのルール至上主義を論破し、勝利する。


この一件で人気者となった明日香。しかし、信頼していたミキの悲しい秘密を知ってしまう。ショックを受けた明日香が病室に戻ると、西野がコモノからの差し入れをベッドにぶちまけていた。しかも、鉄雄から明日香に宛てられた真剣な手紙を、西野が勝手に朗読し始める。明日香は西野を罵倒するが逆に追い込まれ、その騒ぎを聞きつけた患者やナースたちが集まりだす。その手紙で全ての記憶が蘇り、明日香がここにきた本当の理由が明らかになる……。



内田有紀もよかったが、脇役達の演技がとてもよかった。大竹しのぶは以前からすごい女優だと思っているが、ここでも人間の狂気を見事に演じており、あまりにも真に迫っていて驚くほどだった。この人はやはりただものではない。初めは人が良さそうに思えるが、実は一番たちが悪いという役どころを見せつけてくれた。この人は演じている時はその役になりきっている。それこそが役者というものだろう。


また目当てであった蒼井優は、ここでも本当にすごかった。主人公の明日香と仲良くなり、一見まともそうでいて、実はやはり病んでおり、静かな狂気を後半に見せ、その時は背筋がぞっとする感じがした。大竹しのぶ演じる西野は激しい狂気であり、蒼井優演じるミキは静かな狂気という対比が絶妙なコントラストとなっていたように思う。


ミキのセリフでとても印象に残っているものがある。トイレで誰かがゲーゲー吐いている。それが最初は西野だと思った明日香はドアの外から話しかける。しかし、トイレから出てきたのはミキだった。ミキは明日香に気付くと近寄っていき、秘密を打ち明ける。



(ミキ)
「明日香だけに教えるね。私が一食食べた分、世界のどこかの価値の
ある誰かの食事が一食減るんだ。そのシステムに気づいちゃったから。


だから私は食べられないの。私が食べないのは意味があることなんだよ。
明日香と同じだよ。まともなのに、ここにいるの。システムが悪いだけ。


ホント ホント」



それを聞いた明日香は激しく動揺する。まともだと思っていたミキが、やはり他の患者たちと同じように病に冒されていた。私はこの場面を見ていて、蒼井優の演技のすごさも相まって、心の奥底が凍りつくような感じがした。ミキは自分は周りとは違い、まともなのでありシステムが悪いのだと信じ込んでいる。しかし、今の人間社会において、ミキの言動は狂気とされ隔離されてしまうのがおちである。ミキはそれをあくまでも自分が悪いのではなく、システムのせいにするだろう。そうしている限り、ミキが病から解放されることはない。


しかし、ミキの言うことはただの精神病患者のたわごとであり、患者でない私たちがまともで、システムは正常に機能している、と断定できるものなのだろうか?


もちろんミキの言うことを全面的に肯定し、「ミキこそが正常であり、システムが悪い、狂っているのである」としてしまうのも暴論である。ミキの言っていることは極論ではある。だが、それを単純にミキの言っていることはおかしい、間違っている、としてしまってもいけないように私は感じた。ミキの言っていることを普段全く考えない人が大半だろう。中にはミキがいうシステムのことと同じようなことを考えたり、気付いたという人もいるかもしれない。これらの見解はお互いに会い交わらないだろうが、自分は正しくて相手は間違っていると排斥しあうのではなく、単純に認めあうのでもなく、まずは自分の考えを客観的に見つめて、それ以外の見解にも偏見を持たずに耳を傾けることが必要だと、映画を見終わってから考えた。


映画の題材はそれなりにへヴィーなものだが、随所に笑いもちりばめられていて、深刻になりすぎず、能天気でもなく楽しめることができる。グロい場面も多いのでそういうのが苦手な人にはお勧めできないが、人の闇や狂気についてしっかりと見据えようという人はぜひ見ていただければと思う。
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唯我独存

Author:唯我独存
ヨーガ・瞑想暦20年ほど。レイキマスター。日々この瞬間を大切にすることをモットーとする。気付き、寛ぎ、ハートの三つから、今ここにあることを体得し、それを伝えていこうとしている。

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